STAFF'S TALK
名盤、珍盤、貴重盤、愛蔵盤…SOUL JAZZ、LATIN SOUL、ROCKなどを中心にスタッフが独断と偏見で選ぶ愛すべきアナログ盤を紹介します。


デヴィッド・ニューマン『ロンリー・アヴェニュー』  2006/01/13
ヒロシマ『ヒロシマ』  2006/01/13
チーチ&チョン『ウェディング・アルバム』  2004/01/30
ルーベン・アンド・ザ・ジェッツ『フォー・リアル』  2003/10/29
ジョー・バターン『ジプシー・ウーマン』  2003/08/22
デイヴィッド・T・ウォーカー『プレス・オン』  2003/07/24


デヴィッド・ニューマン『ロンリー・アヴェニュー』
レイト60sからアーリー70sのアトランティック・レコードといえばソウル・ジャズの宝庫。ソウル(当時はニュー・ソウルって呼ばれていたのかな?)のラインアップには、アレサ・フランクリン、ダニー・ハザウェイ、ウィルソン・ピケット、ロバート・フラック、キング・カーティス(神様!)、など泣く子も黙るブラザー&シスターのスターが勢揃いしていますが、ジャズ部門にもソウル寄りの職人演奏家が多数在籍。真っ黒なソウル・マナーで、“ブラック・イズ・ビューティフル”なコンセプト・アルバムを多数発表しています。なかでもレイ・チャールズ楽団に在籍していた同胞、デヴィッド・ニューマン(ts&flt)とハンク・クロフォード(as)の諸作品は傑作揃い。甘くも骨太のトーンで“泣きのワン・フレーズ”というお決まりのカタルシスに、何度濡らされたことか・・・しかもこれらのセッションでは、魂のないテクニカルなフレーズも単調なブルース・セッションもご法度。バック・メンバー、選曲、構成、ジャケット・デザインまで創り手たちのこだわりが貫徹!良き時代の文化遺産。ホンモノのブルースでジャズでソウルなアルバムであります。本作のゲストは、ヴァイブ奏者、ロイ・エアーズ。脇役のコーネル・デュープリー(g)とレイ・ルーカス(dr)がいい仕事してます。
Date: 2006/01/13


ヒロシマ『ヒロシマ』
LAの日系演奏家集団、ヒロシマ。デビュー当時の25年前、来日プロモーションだったのか、TVの人気音楽番組に出演したのをなぜだか鮮明に憶えている。意味深なバンド名、太鼓と琴が入ったオリエンタル風クロスオーバー・サウンド、そしてイエローなのに英語しか話さないあやしげなヒッピー風貌。ティーンの俺には全く理解不能な外人バンドとしか写らなかった。彼らを再認識することになったのは、80年代中盤にジャズのレコードを買うためだけにLAの黒人街に通うようになってから。92年の暴動前には、50年代から続く老舗のレコード・ショップがサウス・セントラルやコンプトンには沢山残っていた。ジョン・コルトレーンの横にジャック・マクダフやジミー・マッグリフのカタログが膨大にストックされているソウル・ジャズ中心の品揃えは、いつも通っていた新宿のレコード店とは大違い。娯楽としてのジャズ・・・いやライフスタイルとしてのジャズという音楽の存在。要するにジャズの定義・解釈が全く違うのだ・・・そんなブラックたちの審美眼に敵ったのか、ヒロシマのコーナーはどこのレコード店にもあったのだ。調べてみると、彼らは多人種が混在するイーストLAやクレンショー地区の出身者。チカーノやブラックたちと共感する「ヴァイブ」を奏でるエイジアン・ジャズ。本作に収録された女性ヴォーカルのバラッドはどれも甘い完全なソウル・マナーだ。余談ですが、そんなLA日系人のクロス・カルチャーに興味ある方は、クレンショーを舞台にしたミステリー小説「ある日系人の肖像」(扶桑社 著:ニール・ルヴォワル)がオススメ。
Date: 2006/01/13


チーチ&チョン『ウェディング・アルバム』
このところ人気再燃、フィギュアやTシャツなどのリプロダクション・グッズなども登場しているLAのカルト・ヒーローでおなじみチカーノ&チャイニーズ系の漫才師(?)コンビ、チーチ&チョン全盛期の傑作アルバム。ちょい前に出たジョン・レノン&小野洋子の同名アルバムをおちょくった(便乗した?)ような毒のあるネタ満載、彼らの作品のなかでも特に濃ゆい一枚。見開きのジャケットが豪華で、表紙は窓がくりぬきで写真が差し込みになっている。しゃべくり中心だが挿入される音楽は当時のソウル系大物アレンジャー、ジーン・ペイジらが手がけている。そう、ウチで今度出すチカーノ系ソウル・コンピでお世話になったエクトール・ゴンサーレス(ベース)さんも、この頃、彼らのセッションに参加していたのですが、クレジットがないので未確認。とにかく、彼らのすっとぼけた諧謔的センスが、チカーノ・ラップの精神的バックボーンになっているような気がする。21世紀もこんな感じでメロウに生きていきたい今日この頃であります。QUE-NO?
Date: 2004/01/30


ルーベン・アンド・ザ・ジェッツ『フォー・リアル』
'70年代のラテン・ロック黄金時代と'80年代ロス・ロボス世代の狭間で埋もれてしまった重要チカーノ・ミュージシャンが、このルーベン・ゲバーラ。フランク・ザッパによる架空のチカーノ・バンド名をそのまま継承してデビュー。プロデュースにザッパ本人を迎えた隠れ名盤がこのアルバムだ。'40年代からチカーノ・バリオで聴き継がれてきた黒人音楽とメキシカン・テイストを融合させて、粋でちょっぴりワルなチカーノ・ホームボーイの心意気を見事に演奏しています。特にドゥーワップ調ナンバーは秀逸。またジョー・ヒューストン(SAX)やハンク・マー(ORG)などでも有名なジャンプ・ナンバー、「オール・ナイト・ロング」もブルージーにカヴァー。アルバム全編を覆うやるせない「甘さ」こそチカーノ音楽独特の味であります…ローライダーのクルージング・ミュージックとしてどうぞ。
Date: 2003/10/29


ジョー・バターン『ジプシー・ウーマン』
私にとって最高の歌手は3人いる。オーティス・レディング、パパ・ウェンバ、そしてジョー・バターン。3人ともワンフレーズ、いや掛け声ひとつで聴き手をノックアウトできる稀有の才能の持ち主であり、その魅力をどう形容しても声の力には遠く及ばない。3人ともいわゆる美声ではなく塩辛いハスキーヴォイス、ある一時期ブームのように燃えさかった、いにしえの音楽の歌い手である点も共通している。特にジョー・バターン。日本でもブームだったブーガルー最高の歌手としてちょっとは知られた存在だ。黒人とフィリピン人の混血、一度聴いたら忘れられないその歌声は、サルサ前夜のニューヨークの裏街の雰囲気そのものだ。行ったことないけど。深くて暗い、でも強烈に生のエネルギーに満ちあふれた響き。いかがわしくもねっとり湿ったキッチュな音色。思わず腰が浮き、耳が釘付けになるリズムとビート…。間違いなく、この世で最高の音楽だ。LA界隈でいまもアンセムとして聴かれ続けているのも当然。彼の歌声がリアルタイムで流れる場に行けないのなら、せめて生きてるうちになまで観てみたい。叶わぬ夢だが。
Date: 2003/08/22


デイヴィッド・T・ウォーカー『プレス・オン』
いつどんな時に聴いても、心地よさと感動で胸熱くなる音楽。私にとってそれは、このアルバムだ。ナチュラルで瑞々しい音色。流麗で芳醇なフレーズ。60年代からその響きは変わらない。そのデイヴィッド・Tのギターを理想的なかたちで楽しめるのが、1972年ロサンゼルス録音の本作だ。チャールズ・ラーキーb、ハーヴェイ・メイスンdsら当時最高のスタジオ・ミュージシャンが参加、それぞれの楽器が比喩でなく本当によく歌っている。70年代ポピュラー音楽を大きく変えた要素のひとつが演奏技術の飛躍的進歩だった。歌詞の直接的なメッセージ以上に、サウンドの佇まいやニュアンスで表現されるもの。ニュー・ソウルもシンガー=ソングライターもフュージョン/AORも、それが不可欠だった。その担い手たちがここに集い、楽園の鳥たちがさえずるかのように美しいフレーズを次々と紡ぎだす。陽光降り注ぐ南カリフォルニアの乾いた空気と、音楽に夢や希望がたっぷりあった時代の記憶が、ここに封印されているのだ。(f)
DAVID T. WALKER非公式ホームページ
http://homepage2.nifty.com/ueb/
Date: 2003/07/24


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